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睡眠中に夢が学習を反映している? 多くの証拠とは?

最近の研究は、画像タスクを夢に見ることが記憶の強化に関係することを示している

 

睡眠が学習に重要であるということは広く認められています。記憶痕跡が脳内で再現され、睡眠中に盛んに強化されると考えられています。何人かの研究者たちは、夢の中で、私たちはこの記憶処理を、自分自身の仮想現実の中でまるで本当の経験のように目撃していると提唱しています。これは、夢は最近経験したことや自身の経験の断片からできている、という発見によってある程度裏付けられてきました。また、情動強度などの夢が持つ特性は、睡眠神経生理学と関連づけられています(例えば、夢を見ることとNREM睡眠スピンドルについてのこの投稿を見てください)。

 

それにもかかわらず、寝る前に学習されたタスクが夢に組み込まれるということの実験的証明は比較的少ないです。私は以前、アルペンレースのテレビゲームが睡眠中の夢の初めに組み込まれたこととその後のパフォーマンスとに相関が見られたため、そのタスクの夢を見ることが睡眠中の記憶の強化に関係があるということが示された実験について書きました。

 

 

最近、チューリッヒ学際睡眠研究センターの研究者たちは、寝る前に行われた単語と画像の連想タスクが夢に組み込まれるかどうか、また、これが次の朝の成績と関係するか否かについて評価するために、夜通しの研究を行いました。彼らはまた、夜中に夢を思い出すために何度も目覚めさせることが記憶の強化に影響を及ぼすか否かについても興味を持っていました。これは夢の研究における潜在的な問題の一つです。夢を集めるために参加者を何度も目覚めさせることは必須なのですが、これは睡眠中に起こっている記憶処理を邪魔することにもなり得るのです。

 

 

研究者たちは、19歳から35歳までの22人の参加者を集めました。実験の夜、参加者たちは研究室に眠りに来ました。彼らは、脳の活動を計測するために頭皮に装着する電極と、REM睡眠中に起きる眼球運動を測るための電極、心臓と筋肉の緊張を測る電極から成る睡眠ポリグラフィに繋がれました。その後、参加者たちは単語と絵の連想タスクを行いました。そのタスクでは、初めに単語と絵の関係を学習し、その後、その関連性についての記憶をテストしました。

 

 

実験の夜の間に、参加者たちは3から6回ほどインターフォンで起こされ、「起きる前に頭の中に何が浮かんでいましたか?」と尋ねられました。NREM睡眠の中にもREM睡眠の中にも参加者を起こしました。そして全ての参加者が少なくとも1つは夢を思い出しました。朝に、参加者たちはもう一度単語と絵の連想タスクを思い出してやりました。

 

 

何度も目覚めることが記憶の強化を妨害するか否かについて見るために、何度も起こされた参加者と、夜中全く起こされなかった参加者とが比較されました。

 

 

夢が睡眠前のタスクと関係しているかどうかを見るために、2人の評価者が寝る前に示された絵のカテゴリーと夢の内容の間の対応関係を探りました。念のため、寝る前に示されたタスクは3つのカテゴリーからの当たり障りのない、好ましい絵が使われました。ある夜には、子供、スポーツ、動物の3つが使われ、もう一方の日には水、交通機関、食べ物が含まれた絵が使われました。評価者たちは、参加者によって報告された夢にこれらのカテゴリーと関係しているものが入っていないか探しました。これにより、実験者たちは、(提示されていない、偶然何らかの理由で出て来たカテゴリーのものと比べて)寝る前に示されたもののカテゴリーについて、参加者たちがどの程度夢に見たかということを特定することができました。

 

 

その後の分析により、何度も目覚めさせることが睡眠時間を減らし、その夜の間に起きている時間を増やすことが発見されました。この睡眠量の妨害にも関わらず、何度も起こされた夜の後の記憶状態は、夜に起こされなかった場合と比べ、何の違いもありませんでした。これはおそらく驚くべきことであり、しかし、安心できることです。そして、何度も起こされたとしても、記憶の強化処理は邪魔されずに続いていることを示唆されています。

 

 

全体として、複数回起こされる状態において、22人の参加者たちから106の夢が(121回起こした中で)報告されました。筆者たちは、この夜の夢が、寝る前に提示されなかったカテゴリーよりも、提示されたカテゴリーと一致していたことを発見しました。これは一晩邪魔されずに寝た後、朝にだけ報告された夢には見られないことでした。この発見により、筆者たちは、もし夢の研究者たちが夢の中でタスクに関連した内容を観察したいのであれば、夜中に何度も被験者を起こすべきだと提案しています。

 

 

最後に、筆者たちは、NREM睡眠中のタスク関連の内容の量と睡眠後の成績に正の相関があることを発見しました。これは、タスクについて夢を見ることが学習に関係していて、夢を見ることは睡眠中に行われる記憶の強化に影響を及ぼす、という理論を裏付けます。しかし、この関係はREM睡眠には見られませんでした。これは記憶の強化はNREM睡眠中に行われることが多いせいでしょう。

 

 

全体として、この研究は、夢を思い出す能力の質と量が夜の間や睡眠段階によって変化していくため、それについてより深く理解するために夜中に何度も目覚めさせる手法を使っている夢についての研究分野において他のいくつかのものに加えられるでしょう。何度も目覚めさせることが記憶の強化を阻害しないということは、記憶処理が覚醒に関係なくある水準で続いていくかどうかということや、それぞれの睡眠の始まりに、ある程度その処理をやめる場所を選択できるかどうかということについての疑問を起こさせます。

 

 

最後に、NREM睡眠中の記憶に関連する夢におけるタスク刺激との強い合致は、夢が記憶の強化に影響を及ぼすという理論を裏付ける確かな証拠となり、睡眠中の記憶処理を深く理解するために夢を集めることの有用性を示しています。


キャラクターストレングス(強みとしての徳性)を育てることは私たちを幸せにする?

キャラクターストレングスを育てるための介入は良い効果を増大させてくれます。

 

最近のメタ分析によると、キャラクターストレングスへの介入は、うつ病の症状を軽減したり、幸福感や人生の満足度を上げるなどの良い結果に繋がるようです。

 

 

 

キャラクターストレングスとは?

 

キャラクターストレングスを理解するためには、まず初めに美徳について話さなければなりません。美徳とは、価値のある、道徳的に良い性質のことを言います。勇気や正義、知恵などが美徳の例です。

 

 

キャラクターストレングスは、美徳の元となるものです。それらは美徳を得るための道です。例えば、知恵という美徳は好奇心やオープンな心、創造性、向学心などの強みを使うことで獲得されます。

 

 

その行動や能力がキャラクターストレングスとしての基準を満たしているか否かについては、どうやって決めることができるのでしょう?影響力の大きな本『キャラクターストレングスと美徳』では、次のような10個の詳細な基準が挙げられています。「その特徴は良い人生を構成するものについての様々な面に貢献しなければならない。」「それ自体が好ましく、価値のあるものでなければならない(良い結果が得られるという理由だけで良いものだとみなされるのではない)」「その使用により他の人に悪い影響を与えることになってはいけない」「その特徴は様々な場面に渡って一般化しなければならない」「測定可能でなければならない」「一般的なロールモデルの中で具体的に示されなければならない」「日々の習慣や社会的慣習によって磨かれたり持続させられたりするような特徴である必要がある」

 

 

以上のような評価基準に基づくと、次の6つのグループに集約された24の良い特徴がキャラクターストレングスだと考えれます。

 

 

・知恵:創造性、好奇心、判断力、向学心、物の見方

 

・勇気:勇敢さ、我慢強さ、正直さ、活力

 

・人間性:愛、優しさ、感情知能

 

・正義:市民性、公平性、リーダーシップ

 

・自制:容赦、謙虚さ、慎重さ、自己調整

 

・卓越:畏れ、感謝、希望、ユーモア、信念

 

シグネチャーストレングス(自分の強み)は普段その人が楽しみながら使い、実践しているキャラクターストレングスのことです。それらは本来的に人に意欲を起こさせ、エネルギッシュにさせる強みであり、しばしばその人の本当のアイデンティティの中心にあるものだと感じられます。

 

 

シグネチャーストレングスは人によって異なります。ある人は自分の強みが正義感や人間性に関するものだと考え、またある人は、本当の自意識の中心にあるものは勇気だと思っているでしょう。

 

 

一般的に、人は自分の強みに従って行動し、自分を表現するための新しい方法を身につけ、自分の特徴を使うことに重点を置いたプロジェクトをしたがります。

 

 

 

キャラクターストレングスへの介入

 

キャラクターストレングスモデルは、人が自分の強みを反映させ、それを人生に統合した時に、良い結果が得られるということを示唆しています。確かに、先行研究では、これらの特徴をその人の日常生活に溶け込ませることが幸福や自己肯定感、人生が意味のあるものだと感じやすくなることにつながるということが示されています。

 

 

上記のモデルを使うことで、研究者たちはたくさんのキャラクターストレングスへの介入方法を作ってきました。本論文の筆者であるシュッテとマロウフによると、代表的なキャラクターストレングスへの介入方法は以下の構成要素を含んでいます。

 

 

「(1) キャラクターストレングスの自己評価をする (2) その人のシグネチャーストレングスについてフィードバックする (3) その人にそれらの強みを日常生活で少なくとも1週間は使い続けるよう言う」

 

 

先行研究に基づくと、シグネチャーストレングスを使うことは、自尊心や自己効力感、個人的な幸福感を高め、仕事のパフォーマンスや満足感を向上させ、学業成績を上げ、目標に向けて大きく進むことができ、市民行動さえも促すと言われています。

 

 

 

研究結果

 

本研究では、2,400本以上の研究について調査され、そのうちの14本のみがメタ分析において基準を満たしているということがわかりました。例えば、研究者たちは(他の介入方法とは合わせず)強みにのみに基づいた介入を調査したものや、比較群を含んだ研究などを使いました。

 

 

メタ分析の結果は以下の通りです。シグネチャーストレングスが幸福に及ぼす影響を調べた9本の研究において、介入がかなり良い効果を持っていたことが示されました。同じように、7本の研究に渡って、強みへの介入が明らかにうつ病の症状を軽減したという結果が出ました。最後に、7本の研究の分析に基づくと、強みをベースとした治療が、明らかに人生の満足感を向上させました。

 

 

要するに、これらの介入は良い効果(幸福)や人生の満足感を増大させ、気分の落ち込みを改善したのです。


体重バイアスの痛みは本物? - 体重を恥と感じることは身体的な痛みにつながる

体についての恥ずかしさは痛いものです。そしてそれは気持ちの面だけではありません。今月オンライン上で学術誌『恥と健康』に掲載された研究によると、体重のせいで非難されているように感じることは身体的な痛みの増加につながるそうです。

 

 

私たちは精神的な苦しみと身体的な痛みの関係を暗黙のうちに認めており、日常会話ではそれらを表現するために同じような言葉を使っています。例えば、心痛と歯痛のようなものです。そして先行研究は、社会的拒絶の痛みは身体的な痛みの増加と関係していることを示しています。

 

 

新しい研究では、筆頭著者のカイロニ・オルソン博士と同僚たちが、体重を落としたいと思っている女性対する屈辱感の影響について調査しました。オルソンは現在、ロードアイランド州のプロビデンスにある体重コントロールと糖尿病研究センターの博士研究員です。最近、私は体重バイアスが引き起こし得る痛みについて彼女と話す機会がありました。その痛みは時々驚くほど身体的に現れます。

 

 

 

体重と身体の痛み

 

「研究は、体重が重くなると身体的な痛みも大きくなることを、かなり一貫して示しています。」とオルソンは言います。その一部は関節に余分な力がかかることによります。過剰体重は関節炎の危険な要因です。加えて、肥満に関連した身体中の炎症が重要な役目を果たしていると考えられています。

 

 

しかし、話はこれだけではありません。「研究者たちは、身体的な痛みを処理する役目を持つ脳の中の重要な領域が社会的な痛みの処理にも関与していることを発見しました。」とオルソンは言っています。これは、この二種類の苦痛の裏に、脳の処理中の神経のオーバーラップが起きていることを示唆しています。

 

 

 

自己評価と他己評価

 

オルソンの研究にはBMIの値が太りすぎや肥満の範囲に入っている61名の女性が参加しました。この研究では二つの種類の社会的苦痛に焦点を当てました。

 

 

・「体重認識への屈辱感」は、他の人が自分に対して体重だけに基づいて不当に否定的な想定をしていると気づいたり、そう思ったりする時に起きます。

 

・「内面化された体重の屈辱感」は、それらの不当に否定的な想定が事実だと思うようになった時に起きます。こうなると、自分自身を厳しく批判するようになります。「内面化された体重への屈辱感を持つ人たちは、体重からして、自分が本当にだらしなくて魅力のない人間だ思っています。」とオルソンは言います。

 

体重についての屈辱感はその人の自尊心を大きく損ないます。それは気分の落ち込みや、不安、過食を含む精神的影響を及ぼします。さらに悪いことに、それは健康的に食べたり継続的に運動したりするエネルギーとモチベーションを奪うのです。

 

 

 

体重バイアスの精神的損害

 

これらは全て、一つの点だけでなく多くの点において極めて有害です。体重についての屈辱感と身体的苦痛の関係性について調べるために、オルソンは短期的な体重管理プログラムを始めた太りすぎや肥満の女性のグループを調査しました。このプログラムの初めのアセスメントの一部として、彼女たちは身体的苦痛や体重についての屈辱感、体重バイアスの内面化についての質問を含むアンケートに答えました。

 

 

「我々は、体重認識への屈辱感を感じている女性たちは身体的苦痛も訴える場合が多いということを発見しました」とオルソンは言います。「内面化された体重の屈辱感を感じている人についても同じでした」。

 

 

皮肉なことに、痛みそのものは不機嫌さや無気力さを悪化させるだけです。そしてそれは、健康的な体重になるためにライフスタイルを変えようとする気持ちを妨害します。

 

 

「残念なことに、私たちの社会は体重についての屈辱感をある程度認め続けています」とオルソンは言います。「毎年、その屈辱感がどのように幸福や身体的健康に影響を及ぼすかということについて実証する研究が増えています。しかし、私たちは体重に関する屈辱感が私たちに何の恩恵ももたらさないということを認識するためにそのような研究を待つ必要はないのです。」


女性と男性ではオンラインデートの目的が違うのか? 生物学的性とデートについての驚くべき新研究がよく知られた俗説の誤りを指摘する

「セックスは自然の一部。私は自然と共に生きているの。」-マリリン・モンロー

 

男性はカジュアルなセックスの方に興味があり、女性は真剣な交際の方に興味があるというのはよく知られたことですよね。ハラム、デバッカー、フィッシャー、ウォルレイブ(2018)によると、先行研究のデータは明快です。「女性に比べ、男性が性的多様性とカジュアルセックスを好み、パートナーを増やしたがる傾向は立証されて」います。私たちはこれが進化だと教えられました。男性はできるだけ多くの子孫を残そうとし、それにより、自分勝手な遺伝子がより遠く、広範囲へ広がる可能性を高めます。そして、女性は自分の子孫が生き残る可能性を最大限に高めるために、配偶者を側に置きたがります。女性は男性よりも妊娠や子育てに遥かに多くのエネルギーを費やしているため、当然(推察すれば)オンラインデートについては、女性は長期間の恋愛を求め、男性はそれほど求めていません。しかしもし(生物学的)性だけが決定的な要素ではないとしたらどうでしょう。

 

 

 

セックスとデートについて、男性と女性は本当に生まれながら違った考えを持っているのか?

 

もし女性が、最適な配偶者を選ぶために、可能な限り多くの配偶者候補を試すように進化しているとしたらどうでしょう。もし男性が、種を保つために妊娠したか弱い配偶者と自分の子孫を守る傾向が強まるよう進化している、としたらどうでしょう。私たちが性差についての仮定を立てる際には注意が必要です。なぜなら、私たちは社会で確実だと思われている考え方を正当化するために理由を作り上げているかもしれないからです。ひょっとすると、配偶者選択において観察されている差の多くは文化的要因によるものであったり、主に遺伝学上のものと推定されるものであったりしませんか?ゲノムには他の要因がプログラムされているかもしれませんが、我々は何がどれなのか分類を始めたばかりです。そして性はこれ以上のものではないのです。

 

 

 

「性的流浪性」とは何か?

 

オンラインデート嗜好の高まりの原因となっているであろう、現代の配偶者選択における認識不足ではありながら極めて重要な側面をより深く見ていくために、ハラムと同僚たちは重要な工夫をしながら先行研究を再検証しました。先の研究者たちがした方にオンラインデートの微妙な違いを検証することに加え、彼らは性別や年齢、オンラインデートの動機などの通常の調査対象に「性的流浪性」を追加しました。「性的開放性」(シンプソン、ガンジスタッド1991)は、キンゼイの研究を拡大した概念で、「真剣な交際や親密さを含むか含まないかの性的な出会いを求める個人の傾向」を意味します。

 

 

性的流浪性は「性的開放性表(SOI)」を使って測定されます。SOIは、性的態度と行動傾向を「限定的」(親密で真剣な交際関係の中でしかセックスをしない傾向)から「非限定的」(あまり真剣でなく、親密さもない中で性的関係を持つ)の範囲を持つ一次元上に落とし込みます。研究者たちは、性的流浪性がオンラインデートの動機を決めるのかどうか、そしてもしそうならば、こうした性に関する態度や行動が生物学的性に加えてどの程度働いているのかということについて疑問を持ちました。

 

 

 

今回の研究

 

今回の研究では、ハラムと同僚たちは254人の集団を調査しました。そのうち57.9%は女性で、異性愛者であり、平均年齢は30歳でした。彼らは皆、人と出会うためにオンラインデートサイトやアプリを使ったことがあり、研究当時、約三分の一が真剣な交際や結婚をしている状態にあり、55%以上がシングルでした。彼らはオンラインデートの経験や、性的開放性、オンラインデートの動機、交際状態についての調査項目に答えました。参加者のオンラインデートの動機を理解するために、研究者たちは「ティンダーのモチベーション尺度」(サムターら2017)を使いました。この尺度は出会い系アプリやウェブサイトを使う6つの基本的な理由(愛あるいは長期間の恋愛、カジュアルセックス、コミュニケーションの容易さ、自尊感情の承認、興奮やスリル、流行に乗ること)を推定するものです。

 

 

 

研究者たちは何を発見したか?

 

まず第一に、ネット上の出会いのためにどんな種類のプラットフォームを使っているかということについては性差がありました。女性はデートアプリを使う傾向がある一方、男性はウェブサイトを使う傾向がありました。これは不思議なことです。女性は真剣な交際に関心を持っていると考えられているにも関わらず、デートアプリはカジュアルセックスと結びつきやすいものだと思われているからです。当然研究者たちは、非限定的な性的流浪性をもつ人たちが、オンラインデートを愛情よりもカジュアルセックスのために使用しており、限定的な性的流浪性を持つ人たちは、親密さや真剣な交際を求めていることを発見しました。さらに、年齢が上がるとともに、オンラインデートを興奮や自己承認のためではなく、コミュニケーションの容易さのために愛情とカジュアルセックスの両方を目的として使うようになることもわかりました。彼らはまた、年齢が上の参加者たちほど、オンラインアプリよりもウェブサイトを使う傾向があることも発見しました。これについては、アプリがより優勢にって身近なものになり、現在ウェブサイトよりもアプリを使っている若者たちが年をとるにつれて変わっていくものでしょう。

 

 

しかし、オンラインデートを使う際のモチベーションを決めることにおける生物学的性と性的流浪性についての疑問の方はどうでしょうか。研究者たちは初め、モデルの中に性的流浪性を含めずにデータを扱っていました。彼らは、予想通り男性はより多くのパートナーを求め、女性は真剣な交際を求めていたことから、生物学的性が、人がオンラインデートに求めているものについての統計的に重要な予測因子になっていることを発見しました。しかし、ここに落とし穴があります。統計的モデルに性的流浪性を含めてデータを扱った時には、性差がなくなったのです。性的流浪性のみが(参加者が男性か女性かとは関係なく)オンラインデートの使用動機を予測するものだったのです。

 

 

 

そちらかこちらか?

 

持ち帰るべきメッセージは、男性の方がナンパのためにオンラインデートを使うことが多く、女性は特別な人と出会うためにオンラインデートを使っていることが多いけれども、その理由というのは生物学的性によって生まれつき異なっているようなものではないということです。

 

 

もし性的開放性が決定的な要因だったら面白いと思いませんか?非限定的な女性と非限定的な男性が生物学的な性別に関わらずオンラインデートのプラットフォームを軽い出会いのために使い、その一方で、性的流浪性において限定的な女性と男性が永続的で独占的な愛を求めて使っています。さらに研究を進め、これらの発見を再現するかあるいはそれに反論したり、性自認や性規範の変化、直にデートをするモチベーションなどの重要な因子について調査する必要があります。

 

 

他の疑問も浮かびます。もし男性が非限定的な政敵開放性を持つ割合が高く、そのためにカジュアルセックスを求める気持ちが強くなっているとしたらどうでしょう。どの程度までが本当に遺伝子的、進化的なもので、どの程度までが後天性の社会的、環境的、文化的要因なのでしょう。生物学と同時に、社会学的に理解され、世代間で伝えられる要因(どのように遺伝子が解釈されるかということについて、親や祖父母の世代から伝えられた配偶者選択と子育てについてのエピジェネティック効果の可能性を含め)が現代の交際関係を理解するのに重要です。

 

 

慣習として、性の二進法とジェンダーの変容、流動的で多次元的になること、なぜ関係を求めるのかということを理解するために生物学的な性のみを見ることというのは非常に誤解を招きやすく、不正確なものです。ジェンダーや生物学的性を超越する性的流浪性のような要因を見ることで、私たちは交際や配偶者選択の動機をより正しく理解することができます。今度デートをしようと思った時には、この実験をやってみてください。相手が何を求めているのかということについて性の機能から推測するのではなく、性的開放性について考えてみてください。そして会話にも出してみてください。


夫の感じが悪くなったと思いますか?

あなたはおそらく正しいでしょう。そして多分あなたもそうなっているのです。

 

多くの人が、自分のパートナーは変わってしまったと感じています。彼らは自分のパートナーが、結婚する前にはもっとずっと優しくて思いやりのある人だったことを覚えているのです。彼らは今ずっと優しくなく、思いやりにも欠けているという不満を言います。

 

 

パートナーは本当に変わってしまったのでしょうか?あるいは変わったのはあなたの認識の方でしょうか?あなたが変わってしまったのでしょうか?二人とも変わってしまったのでしょうか?たくさんの可能性があります。どれが正解か知ることは困難です。あるいは、その原因は一つだけではないのかもしれません。または、外的要因があなた方二人に影響したのかもしれません。これら全てが当てはまるのかもしれません。

 

 

ハーヴィル・ヘンドリックスは、彼の革新的な本”Getting the Love You Want”の中で結婚にはいくつかの段階が存在していると指摘しています。最初のステージ「ロマンティック・ラブ」では、優しさや光が見えます。最高の気分で、人生は素晴らしいと感じ、お互いの良いところを引き出そうとします。2番目のステージ「権力争い」はそんなに良いものではありません。気分が悪くなり、人生は大変だと感じ、お互いの悪いところを引き出すようになります。

 

 

ヘンドリックスは、権力争いは全ての関係性において避けることができないものだとしています。良い結婚へのゴールは、権力争いから抜け出し、「本当の愛」へと移行することです。

 

 

ジョージア大学の研究チームがこの理論を裏付けています。。

 

 

彼らの研究は結婚当初に起きる大きな性格の変化を提示しています。最も目立った変化は、夫と妻が好意的でなくなるということです。

 

 

これはヘンドリックスの理論とぴったり一致します。

 

ジョージアのグループは、169組の異性同士の新婚夫婦の初めの18ヶ月を調査しました。彼らは大きな性格の変化を発見しました。良いものもあれば、悪いものもありました。

 

 

もちろんこれらの変化は「平均」です。全ての人があらゆる方向に変化したわけではありませんが、全てのカップルを合わせ考えてみると、平均的な変化が見えてきました。

 

 

良い面では

 

(1) 夫が誠実になる、そして

(2) 妻が心配したり、落ち込んだり、怒ったりすることが減る

 

 

夫はより一生懸命働くようになり、責任感が強まります。これは理解できます。彼らは新しい役目を引き受けるのです。妻は気が楽になり、より安定した愛情を持ち、感情の起伏に耐えられるようになります。

 

 

 

しかし、あまり良くない面では

 

(1) 夫は外交的でなくなり、そして最悪なことに、

(2) 夫も妻も好意的でなくなります。

 

 

外交的でなくなるのはわかります。夫たちは家で過ごす時間が長くなり、社会的に交際する時間が減ります。

 

 

しかし、感じの良さが減るというのは本当に残念な発見です。みなさんそうでないといいと思いませんか?

 

 

しかしこれは現実味を帯びています。多くの人がこれを経験しています。交際期間の良い行いが消えていき、昔の悪い癖が復活してきます。ハーヴィル・ヘンドリックスはこれを「ロマンティック・ラブ」から「権力争い」への避けられない変化だと言うでしょう。

 

 

私は、カップルが「愛のサイクル」から外れ、「恐怖のサイクル」に入り込んだ時にこうなると思います。「愛のサイクル」は心地よさを生み出します。「恐怖のサイクル」はその逆を作り出します。

 

 

この研究は、このようなことがほとんどの人に起こると言っています。そしてそれは最初の18ヶ月間の中で始まります。

 

 

しかし、だからと言ってそれを逆転させることができないというわけではありません。できます。すべきです。きっと、そうしてよかったと思うでしょう。


恋愛はLGBTの若者たちの精神の健康を守れるか?

新しい研究はそれが可能だと示唆している?

 

近年社会の受容度が増してきているとはいえ、レズビアンやゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー(LGBT)の人たちは未だに自らの性的嗜好により偏見や差別、不当な扱いを経験しています。LGBTの若者たちに対しては、友人からのいじめや家族からの拒絶がよく起こっています。当然、これは精神的苦痛やうつ病のような精神健康上の問題を引き起こします。

 

 

諸々のことが相まって、私はLGBTの若者たちにポジティブな精神状態を持たせるような方法を見つけることに興味を持ちました。そして『異常心理学ジャーナル』に掲載された最近の研究で、恋愛(つまり、恋愛関係にあること)はLGBTの若者たちを、彼らが不当な扱いを受けることによって生じる精神への悪影響から守る一つの手段となり得るということを発見しました。

 

 

この論文では、私(と同僚のクリスティーナ・ダイアー、マイケル・ニューカム)はノースウェスタン大学の性的マイノリティの健康と幸福のための機関所長であるブライアン・ムスタンスキが行なったプロジェクトQ2のデータを使いました。プロジェクトQ2では、248人のLGBTの若者が16歳から20歳の時から5年間に渡って8項目のインタビューを受けました。そのインタビューでは、若者たちは恋愛関係を持っているかどうか、LGBTであることによってどのくらい不当な扱いを受けたか、どのくらい精神的苦痛を感じているかということを報告しました。

 

 

 

我々は2つの重要なことを発見しました。

 

まず、レズビアンとゲイの若者は、恋愛関係にある時には、シングルの時よりも精神的苦痛を感じていません。これは特に黒人とラテン系の若者に顕著でした。白人以外のLGBTの人たちは性的にも民族的にもマイノリティであることから相当苦労しているため、これはとても重要なことです。しかし、これはバイセクシャルの若者には当てはまりませんでした。(詳しくは後述)

 

 

次に、この研究が対象として全ての若者にとって、恋愛関係にあることはLGBT関連の不当な扱いによる精神への悪影響を軽減するということです。これについてはもう少し説明させてください。若者がシングルの時には、性的嗜好のせいで起こるいじめや脅し、暴力が多くなればなるほど、彼らの苦しみも増す傾向があります。しかし、誰かとお付き合いをしている時には、不当な扱いはもはや精神的苦痛に繋がらないのです。

 

 

これらの結果はワクワクするものです。なぜなら恋愛関係がたくさんのLGBTの若者を精神的苦痛から救うことができることを示唆しているからです。誰かとお付き合いすることはゲイとレズビアンの若者たちの精神的幸福を促進するだけでなく、いじめやその他の不当な扱いによる悪影響を緩和し得るのです。我々はこの緩和作用がどのように生じているのかについては詳しく調査していませんが、若者たちは何か悪いことが起こった時にパートナーから慰めてもらったり、社会的なサポートを得ることができると考えられます。

 

 

この研究結果は、一般的に知られている、結婚が異性愛者の大人に与える好影響と一致します。結婚することは人を健康で幸せにする傾向があります。しかし、この研究が行われる前には、ゲイやレズビアンの人が恋愛から同じような利益を得ることができるかどうか定かではありませんでした。特に同性間の関係では、異性間の結婚と同じようには経済面、法律面の利益を得ることができず、他者からの理解も得づらいからです。また、この発見は歴史的にずっと不健全だと言われてきたLGBT交際についての否定的な考えを払拭する助けになります。

 

 

一つ注意しなければならないことは、恋愛の恩恵はバイセクシャルの若者には見られなかったということです。実際、バイセクシャルの参加者たちは、シングルの時よりも恋愛をしている時の方が苦しみが(減るのではなく)増していました。なぜこのようなことが起きるのかは定かではありませんが、バイセクシャルの人たちについては、異性愛者からもゲイやレズビアンの人たちからもバイセクシャルは「本当の」性的嗜好ではないと言われたり、一時的な状態でしかないと言われたりすることと関係があるのかもしれません。時には恋愛関係に発展することでこれが悪化することもあり得ます。なぜなら、皆(パートナーも含めて)その人のパートナーの性別により、バイセクシャルの人は今は異性愛者だとかゲイやレズビアンだと見られるためです。また、バイセクシャルの人たちは、一人のパートナーに尽くすことができず、性的にふしだらだと言われるようなネガティブな固定観念にも向き合っています。誰かとお付き合いを始めると、このような固定観念をさらに感じるようになるのでしょう。

 

 

しかし、全体としては、この研究結果は恋愛関係がゲイやレズビアンの若者たちにとって好ましい経験であり、性的マイノリティであることに関連するストレスに対処する助けになっているということを示しています。私の意見では、これは私たちがLGBTの若者の間で健全な関係を持つことを推奨するための行動力を育て、支えていくべきだということを意味していると思います。LGBTの若者たちの間での交際を推奨するための努力(例えばゲイ・プロむのようにLGBTに焦点を当てたソーシャルイベントを計画することなど)と、健全な関係を築くためのスキルを教えることは、彼らが直面している精神健康上の問題を減らす期待ができます。


あなたは自分が思っているよりも、もっと自分をコントロールできる?

自我消耗は自制能力に対する不十分な(そして悲観的な)見方をさせる

 

あなたが新しいダイエットを始めてから1週間が経ちました。これまでの食事は全て雛鳥の胸肉とふやけた野菜でした。さあ、金曜の夜になりました。あなたの仲間が、ビールとナチョスを食べに出かけよう!とあなたを誘惑しています。あなたは精神的な疲れから誘惑に耐えきれず、アルコールを飲み、思う存分食べました。ダイエットの決意に反したという罪悪感を和らげるため、次の日あなたはダイエットにおいて時折チートデイを設定することがなぜ大切なのか、ということを解説しているブログの投稿に「出会い」ます。

 

 

これは誰もが聞き覚えのあるお話でしょう。精神的に消耗して疲れ果てている時に、辛いコントロールを絶え間なくし続けることがどれだけ難しいかということはご存知だと思います。科学的にもそう言われています。セルフコントロールが必要な仕事をすることは、実際にその後の仕事のパフォーマンスを悪くするのです。月曜から木曜までのダイエット中のセルフコントロールは、自制力タンクを空にし、金曜日の(ナチョスの)誘惑をかわすことを非常に困難にしました。

 

 

研究者たちはこの現象を「自我消耗」と呼んでいます。そしてそれは自制力とセルフコントロールの心理学的基盤について研究している人たちにとってホットな話題なのです。

 

 

 

自我消耗とセルフコントロール理論

 

自我消耗という概念は、心理学者たちが「セルフコントロールの強度モデル」と呼ぶものに由来しています。そのモデルにおいては、セルフコントロールに供給されるエネルギー量はあらかじめ決まっていて、有限であり、そのエネルギー量によってセルフコントロールの質が変わるとされています。強度モデルの支持者たちは、セルフコントロールを有限資源として見ており、困難な目標を追求する時に少しずつ削っていっても大丈夫なように貯蔵しておかなければならないと考えています。強度モデルを使えば、なぜ我々はビールとナチョスによるチートデイやネットフリックスの一気見をしてしまうのかということを説明できると考えられています。

 

しかし、現在我々は、個人的な努力体験の方がセルフコントロールの効いた行動に大きく関わってくるということを発見しつつあります。つまり、私たちが何かを努力が必要なことだと「見る」ときにはセルフコントロールがうまくいかなくなってしまうのです。もしそれが本当ならば、強力な対処法があります。それは、ものの見方を変えるだけで、もっとうまく自分をコントロールできるようになるということです。

 

 

 

セルフコントロールの素人理論

 

私たちはしばしば自分の身の回りの世界を理解するために、何かしらの理論を思いつくことがあります。科学者たちはそれを「素人理論」と呼びます。それが私たちの個人の見解に基づく不確実な証拠や、個人的な経験や観察に基づいていて造られるものだからです。

 

 

当然、私たちはセルフコントロールについても素人理論を持っています。調査によると、セルフコントロールの本質と可鍛性については個人個人が異なった見方を持っているようです。研究結果は、困難な課題に対する私たちの反応の根底には、個人的な経験が存在していることも示唆しています。セルフコントロールは有限資源だという素人理論を持っている人は、誘惑に負けやすくなるのです。

 

 

加えて、カナダのウォータールー大学の心理学者のグループは、パーソナルナラティブがセルフコントロールの効いた行動をとる能力に対してどのように働くのか、ということについて調査しました。3つの関連した研究の中で、彼らは努力についての個人的認識がどのようにセルフコントロールについての素人理論に影響を及ぼし、さらにその素人理論が実生活の中でどのように私たちの能力を形作っていくのかということについて調査しようとしました。

 

 

 

研究とその結果

 

最初の研究は、セルフコントロールについての過去の経験が、どのように私たちのセルフコントロールに対する考え方を形作ってきたのか、ということについて調査しました。研究者たちは参加者の一方のグループに、セルフコントロールが簡単にできた時のことを思い出すように求めました。もう一方のグループには、かなり苦労して何かを継続した時のことを報告するよう求めました。その後参加者全員がセルフコントロールについての素人理論をテストするための質問(例:セルフコントロールは有限資源だと思うか など)に答えました。

 

 

2つ目の研究は、参加者に努力が必要な課題かそれほど大変ではない課題かのどちらかをこなしてもらった後で素人理論を評価することにより、先の研究からさらに一歩踏み込んだ調査となりました。努力が必要な課題というのは、ある文章を読み、その文中の全ての「e」とスペースを削除し、「a」を「A」に変えるというものでした。それほど大変でない課題というのは、ある文章を一語一語書き直していくだけのものでした。それぞれの課題をこなした後には、セルフコントロールの素人理論について研究1で聞いたのと同じ質問に答えてもらいました。

 

 

最後に、3つ目の研究では日常的な努力の経験が、その人の持つセルフコントロールについての素人理論にどのような影響を与えるかということを調査しました。それぞれの参加者は2週間連続で毎日骨の折れる課題をこなすよう求められました。その後研究者たちは、参加者たちの努力に対する認識とセルフコントロールの素人理論について、前と同じように測定しました。

 

 

 

セルフコントロール心理学の「新しい学校」

 

これらの研究結果が私たちに教えていることは、自我消耗のコンセプトが理論値まで達していないということです。研究結果によると、私たちの自我は私たちが消耗されると思った場合にのみ消耗されるようです。これにより、セルフコントロールにをより柔軟で楽観的なものだと見ることができるようになります。

 

 

それどころか、最新の研究結果は、セルフコントロール能力が成長していくものだということを裏付けています。セルフコントロール力を高めるためには、ある課題を大変ではないと「見る」ために自分の精神状態を変えることから始めましょう。確かに、研究では、課題を面白くて有益なものだと捉えることで、私たちが感じる大変さを軽減できるということが示されました。この研究者チームは、この結果がセルフコントロールが有限資源であるという見方を弱め、将来何かに挑戦する際に役に立つ可能性があるとしています。

 

 

このような新しい見方をすることで、セルフコントロール能力についてはマインドセットを変えることで改善する余地があるということがわかります。そしてセルフコントロールは完全に前もって決められたものである(そして有限である)という絶望的な考え方を緩和することができるようになります。

 

 

来るべき夏に向けてこれらの研究結果を心に留め、あなたが目標としている誰もが憧れるビーチ向きの体は、考え方を変えることで達成可能だということを覚えていてください。そして、自我は消耗されるものだという考えを超越してください。あなたのセルフコントロール燃料タンクは空にはならないはずです。


マシュマロ満足遅延耐性テストは、重要ではない?

マシュマロ満足遅延耐性テストは最も大きな課題に直面している。

 

 

子供が見せる満足遅延耐性は、子供に期待を抱いている親たちが最も求めている勲章のうちの一つです。幼い時に、目の前に置かれた一つのマシュマロをすぐに食べたいという衝動をコントロールし、2つ目のマシュマロをもらえるまでもう少し我慢できるかを試すということは、心理テストとしてよく知られています。

 

 

マシュマロテストは、幼い子供の満足遅延耐性を明らかにする究極の心理リトマス試験だと考えられています。満足遅延耐性の裏にある理由づけとその長期にわたる恩恵は、60年代に行われた子供の満足遅延耐性についての画期的な研究と、90年代に行われた追跡研究によって、誘惑に耐え、2つ目のマシュマロという形で自らのセルフコントロールの賜物を楽しめる子供は、我慢できない子供たちを、その後の認知力や行動の多くの面で上回るとたくさんの親に信じさせています。

 

 

残念なことに、本やソーシャルメディア、伝聞、児童心理学者のアドバイスなどを通してこういった考え方を支持してきた者として、私たちは関連する研究結果の微妙な違いを理解するために深く掘り下げようとはあまりしません。例えば、一番初めの調査の参加者はたった50人だけでした。このサンプル数は、心理学の調査としては比較的少ない数字です。この研究は十分な力を持って進められたのでしょうか?その結果はどれだけ信頼できるものなのでしょうか?さらに言うと、参加した子供たちはハーバードのスタッフの兄弟の中から選ばれました。どう見ても標準的なサンプルとは言えませんし、少なくとも比較的狭い範囲の社会経済的背景しか反映されていません。

 

 

今週の初めまで話を進めると、この長期にわたる研究のメインの主張、すなわち人生における満足遅延耐性がかなりの恩恵につながるという主張に疑いをかけるような新しい研究が行われました。様々な国の報道機関が大騒ぎしています。実際、その新しい研究は、満足遅延耐性の効果が誇張されているということと、幼い子供によって示される満足遅延耐性は、その後の人生の出来を予測する上で初めに思われていたほどは価値のある特徴ではない、ということを示しているようなのです。

 

 

しかし、元々の実験と再実験(サンプル数によって結果が異なる)の両方における共変量がどのように説明されてきたかということを理解することが大切です。再実験では慎重に計算されているものの、元々の実験ではそれほど慎重に計算されていないようです。何より、この最新研究は、2つの重要な主張を生み出しました。まず、彼らの実験結果(はるかに多いサンプル数が使われ、おそらく信頼性が高まったもの)では、2つ目のマシュマロを待つ能力と15歳段階での成績との相関性の強さが、元々の研究で見られたものの半分ほどしか見られなかったのです。これは初めの研究のサンプル数の少なさをよく反映していると考えられ、それ自体では驚くべきことではありません。しかし、もっと興味深いことは、家庭環境や家族歴、幼い頃の認知能力によって定義される社会経済的階級はこの相関性をさらに三分の2ほど弱めてしまうということです。

 

 

これをどう考えるべきでしょうか?アメリカの教育システムの低下により、恵まれない環境に生まれるか、単に賢く成功した親の元に生まれるかといったことが、以前よりも将来の成績や成功の要因となり、不平等が拡大しているということは言えるでしょう。冷静に見れば、この研究は、アメリカン・ドリームを達成することは自分自身の我慢の問題だけではなく、あなたの親が誰で、あなたがどこで学校に通っていたかという問題でもあると仮定することもできるでしょう。


女性が何を魅力的と思うかということには、本当にホルモンが影響しているのか?

最近の再実験によると、ホルモンと配偶者(パートナー)選択についての初期の研究結果を覆す結果が出ています

 

 

心理学が、常に新しい実験によって塗り替えられていくことは隠しようのない事実です。以前は信頼に足る、揺るぎない研究結果だと考えられていたものが、独自の研究チームが研究(時には失敗)することによって、新しい結果に取って代わられています。

 

 

なぜこのようなことが起きるのでしょうか?

 

 

この一つの要因として、科学者たちは一流の学術誌に論文を載せなければならないというプレッシャーを感じている事にあります。こういった専門誌の編集者たちは、退屈だけれども必要な研究よりも、刺激的で革新的な発見を好む傾向があるのです。

 

 

人目をひくような研究結果ばかりに注目してしまうということについては、選考する側にも罪があるでしょう。皆が読みたいと思うであろうけれども、その後の研究で覆されることがあるかもしれないような研究結果を選んでしまっているのです。

 

 

そこで、今回は、以前記事になったが、最近の再実験によって疑問視されるようになってしまった研究結果をいくつか見ていきましょう。

 

 

まず、ホルモンが女性の配偶者選択における嗜好性にどう影響するかという研究結果について見ていきます。このテーマは特に多くがメディアで大げさに伝えています。

 

 

さて、女性の配偶者選択に関わる心理は、月経周期やホルモン避妊薬の影響を受けるのでしょうか?

 

 

では、見ていきましょう。

 

 

ホルモン避妊薬と交際の質

 

ピルやパッチのようなホルモン避妊薬は、女性が男性と性行為をした後に妊娠する可能性を下げるように作られています。しかし、ホルモンは生理学的な効果だけでなく心理学的な効果も持っているため、エストロゲンや黄体ホルモンがたくさん入った薬を日常的に飲むことが、女性の交際や成功に対する考え方に影響し得るという仮説を立てるのは理解できることです。

 

 

ある程度支持を得ていた考え方として、「一致仮説」というものがあります。この仮説は、以下のようなものです。

 

 

女性がピルを使用しているか使用していないかどちらかの状態で男性との交際を始めます。その際にピルの使用をやめる女性もいれば、逆に使い始める女性もいます。もしピルが性心理に影響するならば、ピルの使用状況の変化によってパートナーに対して性的魅力を感じなくなるかもしれません。逆に、交際を始めてからピルを飲み始めたり、交際前から変わらず飲み続けている女性はパートナーの性的な魅力が減ったとは感じないかもしれません。

 

 

交際を始めてからピルを飲み始めたり、飲むのをやめたりする女性は「不一致」として分類されます。一方、使用状況が変わらない女性(ピルを元々飲んでいるにしても飲んでいないにしても)は「一致」と称されます。

 

 

フィンランドのトゥルクにあるオーボアカデミー大学のパトリック・ジーンが率いる研究チームは、男性と交際中の女性1,000人近くを集めました。その女性たちは、交際の質とパートナーに対する性的満足感、嫉妬心、パートナーの身体的魅力についての質問に答えました。

 

 

ジーンは、パートナーと出会った時にピルを飲んでいた女性と、現在ピルを飲んでいる女性は、性的満足度が高い傾向にあることを発見しました。現在ピルを飲んでいる人たちは、嫉妬心も強い傾向にありました。しかし、一致仮説に関わる重要な実験結果は立証されませんでした。ピルの使用状況を変えようが変えまいが、女性たちの持つ交際への満足度や、パートナーに感じる魅力の度合いは変わらなかったのです。

 

 

ジーンは「一致」か「不一致」かはもっと細かく別れる(ピルを飲み始めるかやめるか、飲み続けるか飲まないままか)と考え、これら4つのグループ間の差について調べました。ピルを飲み続けている女性は、ピルをずっと飲んでいない女性たちよりも性的満足度が高く、嫉妬心が強い傾向にありました。

 

 

ジーンのチームは、以前の研究者たちが一致仮説を支持した理由の一つは、グループごとの女性の数がバラバラだったせいではないかと推測しています。交際を始めてからピルを飲まなくなる女性が飲み始める女性よりも多ければ、その「一致グループ」の中で、ピルを使っていない人が占める割合が大きくなりすぎてしまいます。

 

 

 

ホルモンと男らしい男性

 

ホルモンに避妊薬は、女性がどんなタイプの男性に魅力を感じるかということにも影響すると考えられています。

 

 

包み隠さずお話しするためには、私は数年前にピルが男性らしさに対する女性の嗜好性に影響し得るという論文を共同執筆したということをお知らせしなければならないでしょう。私と共同研究者たちは、交際開始時にピルを飲んでいた女性は、フェミニンな顔(ライアン・ゴズリングのようなタイプ)とカップルになりやすい傾向にあり、それに対してピルを飲んでいなかった女性は男らしい顔(”ザ・ロック”ことドウェイン・ジョンソンのようなタイプ)とカップルになりやすい傾向にあることを発見しました。

 

 

他の研究者たちは、ピルの使用は男性の顔の男らしさに対して女性が感じる魅力を少なくするということを発見しました。これは私たちが得た実験結果を裏付けるものです。

 

 

しかし、最近ポーランドのクラクフにあるヤギェウォ大学のウラ・マルチンコフスカは、その調査を再検証し、そして撃沈させてしまいました。

 

 

彼女は6000人以上の異性愛者の女性にピルを飲んでいるかどうか尋ねました。その後女性たちはCGソフトを使ってより男らしく、またはよりフェミニンに見えるように作られた顔を何組か見て、どの顔が一番魅力的だと感じたか報告しました。

 

 

その実験によると、ピル使用者はピル不使用者よりも男らしい顔を好むということはありませんでした。(しかし奇妙なことに、ピルを使用者は不使用者に比べて確実にフェミニンな女性の顔を好んでいました。)

 

 

ピルを飲んでいる女性がその人の身体的魅力をより強く感じたわけではなくても、結果的に男らしい男性と交際するようになる、ということはあり得ます。おそらく、男らしい顔つきの男性はピルを飲んでいない女性がそれを魅力的だと感じるような他の特徴を持っていることもあるでしょう。または、そういう男性が他のタイプの男性よりも、ピルを飲んでいない女性にうまく接近しているのかもしれません。マルチンコフスカの発見によって私の研究がゴミ箱行きになるわけではありませんが、ホルモンと男性らしさへの嗜好性についてはさらなる研究が望まれます。

 

 

月経周期と配偶者選択

 

そういえば、月経周期が男らしさを含む様々な男性の特徴に対する女性の嗜好性に影響を及ぼしているということについては広く知られていますし、あなたも聞いたことがあるでしょう。こうした発見は1990年代半ばに明らかになり、「二元配偶者選択戦略仮説」という言葉で説明されました。この仮説は、女性の、いわゆる「キャッド」と「ダッド」タイプの男性に対する魅力の感じ方には違いがあるということを指摘しています。

 

 

「キャッド」というのは、セクシーな悪い少年のことを言います。そうした少年たちはセクシーで男らしく見えますが、あまり交際について真剣ではなく、相手に対して寛大でもありません。男らしさは遺伝的健全さと関係しているという、最近ますます怪しくなってきている仮定に基づいて考えると、男らしい男性はおそらく遺伝子的には良い父親であるものの、性格的には、長いスパンのパートナーとしては良い選択とは言えないでしょう。一方「ダッド」は、性的魅力が不足していることを補うために、交際について真剣に向き合い、フレンドリーで優しいことが多いです。女性の生殖能力が最も高まっている時には、「キャッド」と妊娠する見込みを大きくするために、排卵期に男らしさへの嗜好性が強まるのは有益でしょう。その他の時の女っぽさへの嗜好性は、女性が「ダッド」タイプとの交際から利益を得ることに繋がるでしょう。

 

 

2000年代初めの研究ラッシュは、月経周期と男らしさへの嗜好性の関係を実証しました。そして、その月の中で最も生殖能力が高まっている時に男らしい男性がいつもよりも魅力的に見えるということを示しました。しかし、もっと新しい研究(と初期の実験方法は厳密さが足りなかったと指摘する一連の研究技術論文)は、これらの刺激的な発見に疑問を投げかけています。

 

 

スコットランドのグラスゴー大学のベン・ジョーンズは、最近チームを率いて、500人以上の女性を対象とした長期間の大規模な研究を行いました。参加者の女性たちは数カ月間毎週ジョーンズの研究室に報告を行いました。彼女たちは毎回唾液のサンプルも提出しました。そしてジョーンズたちはそのサンプルからホルモンを検出しました。(月経周期はエストロゲンや黄体ホルモンの変化と関係しています。)

 

 

女性たちはまた、マルチンコフスカが使用したのと同じような男らしさへの嗜好性テストを行いました。女性たちはどちらの顔(男らしいものかフェミニンなものか)が長期交際と短期交際の相手として魅力的に見えるかということを判定しました。というのは、過去の研究者たちが、女性が男性を遊び相手として選ぶ時に、月経周期の影響が最も強くなると指摘していたからです。

 

 

分析によって、女性は概ねフェミニンな顔よりも男らしい顔を好み、その傾向は特に短期間交際について強まることが明らかになりました。しかし、言い伝えられていた月経周期による変化というものは見ることができませんでした。生殖能力が高まっているかそうでないかによって、女性の男らしい顔を好む傾向が強まったり弱まったりすることはないのです。

 

 

ドイツのゲッティンゲン大学のジュリア・ユンガーによって率いられたもう一つの最新研究では、排卵周期が男性の体の男らしさに対する嗜好性に影響するかどうかが調査されました。ここでもう一つ言っておかなければならないことがあります。私は、女性は排卵期に裸の男性を好むというオリジナル論文の共著者です。その研究では、我々はインターネットで女性を募集し、彼女たちが申告した月経周期に基づいて、彼女たちが画像を評価した際の生殖能力の強さを推定しました。ユンガーのやり方は我々よりも相当厳密なものでした。彼女は同じ女性について2周期分追跡し、ジョーンズのように唾液によるホルモン分析を行いました。この最新の研究結果は、生殖能力が高まっている時には、女性は男性の体をより魅力的だと評価することを示しています。しかし、魅力の変化は全てのタイプの男性に共通していました。フェミニンな体でも男らしい体でも、女性は魅力的だと感じたのです。

 

 

そして、(彼女は明らかに忙しいのが好きな人なので)ユンガーは、月経周期が男性の声の男らしさに対する女性の嗜好性に及ぼす影響についても調査しました。いくつかの研究チームが、女性は生殖能力が高まっている時に低い声を好みやすいということを実証しました。しかし、それらのチームの中には女性の周期をホルモンレベルで調査することはせず、一番最近の月経が始まった日付に基づいて推測していたチームもいました。

 

 

顔写真をより男らしく、またはフェミニンに見せることができたように、音声についてもより低く聞こえたり高く聞こえたりするように操作することができました。ユンガーは、参加者たちに声の高さを上げたり下げたりした男性の声の魅力度を評価させました。また、それでけではなく、もともと声の高さが違う複数の男性の声も聞かせました。(この、より自然状態に近い実験により、その効果が現実世界の中でも見られるかどうかということを検証することができます。)

 

 

ここまでくると、ユンガーが女性の月経周期と男らしい声に感じる魅力度の変化に相関を見出せなかったと言っても驚かないでしょう。しかし、低い声は高い声よりも魅力的だと評価されました。そして、一般的には女性は排卵期に最も男性の声を魅力的だと評価しやすくなっていました。

 

 

私がこのブログを書き終わることに発表されたもう一つの論文では、(忙しい忙しい)ウラ・マルチンコフスカは、男らしさへの嗜好性とホルモン周期とは関係ない、ということを再度検証しました。しかし、彼女はその女性の周期全体におけるホルモンの平均レベルが鍵だということを発見しました。黄体ホルモンがずっと高い状態の女性は、男らしい男性を好みました。しかし、それはパートナーおいる女性たちにのみ見られた傾向でした。独り身の女性については逆の結果が出ました。

 

 

ユンガーの研究結果は、月経周期全体を通して何かが起きていることを示唆しています。おそらく女性は生殖能力が高まっている時に性的に積極的になりますが、男らしさへの関心度は変わらないのでしょう。

 

 

マルチンコフスカの研究は、ホルモンは男らしさに対する嗜好性と関係しているものの、周期的に変わるようなものではなく、交際状況のようなその他の変数を明らかにすることが大切だ、ということを示しています。

 

 

どちらにしても、二元配偶者選択戦略仮説の正当性はかつてよりも弱まっています。

 

 

一歩戻って二歩進む

 

おそらく今あなたはあらゆる心理学関連の記事について疑ってかかるべきか否かということを疑問に思っているでしょう。我々は研究結果をどう捉えるべきなのでしょうか。

 

 

科学は少しずつ進歩していきます。新しい仮説を立てた心理学者はしばしば不利な状況にあります。未知のことに踏み込んでいく時には、その理論をきちんと検証するために必要な道具や手段がどのようなものかわからない場合があります。その後の研究者たちは最初の研究を後から見直すことで、何を改善すべきかわかるようになります。

 

 

また、心理学者たちは皆、自分の時間や労力、資金をどれだけつぎ込むのが最適か、ということを判断しなければなりません。そのアイディアが新しいもので、それを裏付けるようなデータが殆どないような場合には、多くをつぎ込むことを正当化するのは難しいでしょう。その後、そのアイディアの裏に重要な証拠があることがわかれば、より多くのサンプルや高額な手法(ホルモン検査など)を使って再検証をしたり、様々な文化圏の被験者を集めるために国際的な共同研究をしたりすることが容易になるでしょう。

 

 

調査の初めの刺激的な段階を終えた後には、いつも再検証し難い実験結果が存在します。これが、一つの研究の結果を、ある隠れた真実の裏にある決定的で確固たる証拠だと考えるべきではない理由の一つです。また、私たち(プロの心理学者も、その分野に関心のある一般の人たちも同様に)は、記事の見出しの先にあるものを見ようとする人たちの努力に協力的であるべきだというのも上記の理由によるものです。


自殺についてより責任感を持って話す方法とは?

実用的なガイドラインは、メディアと私たちのリスク軽減に役立ちます。

 

 

火曜日のお昼前、報道機関はファッションデザイナーのケイト・スペードが、自宅で明らかに自殺と思われる状態で亡くなっているところを発見されたと伝えました。夕方前には、スペードの名前はツイッターのトレンドワードの1位になりました。

 

 

自殺予防の専門家は次のように警告しています。著名人の自殺は、誤った扱い方をすると、大げさな報道によって美化されたり、後追い自殺を引き起こしたり、鬱病などの精神疾患に関する悪評を広げたりする危険性を生むことになります。著名人の自殺の後には、報道機関や各個人はそのことについてより責任感を持って共感的に話すようにすべきです。

 

 

 

どうすればメディアは自殺についてより望ましい報道ができるようになるか?

 

 

一般の人たちにとって、著名人の自殺についての第一の情報源はメディアです。そのため、専門家達は、メディアはその出来事をどのように提示され、理解されるかということについて重要な役目を果たしていると言います。アメリカ自殺予防財団(AFSP)などにより作られたガイドライン「自殺報道のための推奨事項」の中で挙げられているようなものは、後追い自殺や自死が美化されるリスクを最小限に止めることを意図しています。AFSPによると、報道機関は次のことに留意すべきです。

 

 

 

自殺に使われた道具や自殺の方法の詳細を不必要に伝えない

 

 

自殺予防リソースセンターとともに自殺予防プログラムを開発するためのガイドライン作りに取り組んでいるシモンズ社会福祉事業学校の准教授エラナ・プレマック・サンドラーは、「事実だけで十分だ」と言っています。彼女は、「詳細を知ることは有益ではない。詳細に伝えることは死を扇動的に扱ったり、美化したりし得る」と言っています。これは自殺願望を持っている読者に対して、自殺をより魅力的に見せてしまう可能性があります。個人がメモを残している場合には、その情報を含めて報道しても構いませんが、そのメモの具体的な内容を伝えることを慎むべきだ、とサンドラーは言っています。

 

 

 

自殺を犯罪のように言わない

 

「自殺を犯す」と言うフレーズは一般的に使われているものですが、AFSPや国立自殺予防ライフラインなどの団体は「犯す」という言葉が犯罪行為を思い起こさせるとして、使用を控えるように言っています。その言葉の代わりに「自殺により死亡した」「自死した」という言葉のしようが推奨されています。

 

 

 

自殺が頻繁に起きているように誇張する言葉遣いを避ける

 

専門家によると、特に著名人の自殺について広く報じられた後に「自殺の頻発」や自殺率の「急上昇」といった言葉を使うと、精神的に弱っている人たちに、自殺は広く認められている選択肢だと思わせてしまいます。自殺率が本当に上がった時には(社会全体としてのものであっても、特定のグループ内でのものであっても)報道機関はそのデータを誇張することなく伝えるべきです。

 

 

 

故人の死そのものだけでなく、その人の人生に注目する

 

サンドラーは、スペードは「素晴らしい人生を送り、非常に独創的であり、特に個人に喜びを与えた」と言います。「自殺によって亡くなった人の死そのものだけでなく、その人生についての物語を伝えることが大切です。こうして微妙に違った描き方をすることが、はるかに正確な描写につながるでしょう」自殺に関する話の中で写真を使う際には、故人をより肯定的に見せるようにすべきです。気が動転している友人や家族、死に方などを写した写真は避けるべきです。

 

 

常に自殺予防ホットラインの番号やその他の自殺予防団体のリンクを掲載する

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/jisatsu/index.html

 

 

サンドラーによると、自殺予防ライフラインの番号は自殺に関わる全ての記事に掲載すべきだそうです。著名人の自殺直後には、メディアは多方面に対して影響力を持っています。「自殺のリスクを抱えている人たちに、助けを求めることを勧めるためにその影響力が使われれば、メディアは変化を起こすことができます。」

 

 

 

個人や社会は自殺についてどのように話すことができるか?

 

メディアの外にいる人たちも、自殺について話す際に対策を講じることで、起こり得るリスクを減らすことができます。

 

 

 

自殺について話す時は可能な限り注意をする

 

サンドラーは、「自殺は軽々しく話すべきことではない」と言っています。とりわけその出来事が大々的に報じられたり、意外な出来事であるかのように見える時には、その有名人の死について話したくなるのは当然です。ですが、「自殺は個人的な問題であり、個人や家族、社会にとってトラウマになるようなものであるという意識を持ち、いつも慎重に話すことが大切です。」

 

 

 

鬱病と自殺について話を続ける

 

専門家によると、自殺を考えたことがある人の多くは、冷たい目で見られることを恐れて自分の経験について話したがらないかもしれません。そして、著名人の自殺があった後の嵐のような会話は、その人の恥じる気持ちを助長してしまいます。『鬱と生きる』の著者で心理学者のデボラ・セラーニは、著名人の自殺の後の「『良い教えを得られる機会』は(きっと)助けになる」と言っています。「しかし、本当の変化は、ニュースが次の話題に移っても自殺や鬱病について継続的に開かれた対話ができるようになった時に起こります。」

 

 

自殺についての考えることや鬱病は人を差別しない。そしていつも目に見えるようなものではないということを認識する

 

 

「鬱病はその人が裕福だろうが有名だろうが、あるいは貧しかろうがホームレスだろうが関係ありません」とセラーニは言います。「凡人だろうが、素晴らしい才能に溢れた人であろうが関係ありません。」有名人や裕福な人が自殺すると、その人には足りないものなどなかっただろうにと考えるのは普通のことですが、「成功が苦しみから誰かを守ることはない」ということを覚えておきましょう。

 

 

 

自殺願望がある人に助けを求めるよう促す

 

国立自殺予防ライフラインやクライシステキストライン(74174にHOMEとメールすることでつながる)は、悩んでいる人たちが24時間年中無休で使うことのできるものです。ほとんどの鬱病患者は治療に対して良い反応を示します。「鬱病は朝が来たからといって消えるものではなく、また、考え方を改めることで振り払えるようなものではありません」とセラーニは言います。しかし、「治療をすれば、脳は再び通常の機能を取り戻します。そして助けを求めることを恥ずかしいことではありません。」


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