曲が人気になる秘訣、科学的根拠とは?

最近の研究によると、例外的なものが流行しやすい点が指摘されています。

 

 

なぜ一部の文化的製品は並外れた人気を獲得し、また一部の製品はそうならないのか。ジョーナ・バーガーとグラント・パッカードはポップミュージックに注目して調査を行い、『サイコロジカル・サイエンス』に論文を掲載しています。彼らはデータの分析結果に基づき、例外的な曲がヒットしやすいと指摘しているのです。

 

 

 

背景

 

アクアの“Barbie Girl”や、ロス・デル・リオの“Macarena”、スパイスガールズの“Wannabe”、ニルヴァーナの“Smells Like Teen Spirit”サイの“Gangnam Style”がこんなにも人気になることをどれだけの人が予測していたでしょうか。

 

 

その曲が将来人気になるかどうかを予測するのはほぼ不可能です。専門家でさえ、どの曲がヒットするかということを予測するのに苦労しています。その曲が成功するか否かを決める要因は複数あるでしょう。(例:販売戦略、バイラルミュージックビデオ(口コミを広めるためのミュージックビデオ)など)

 

 

人間は刺激を求めるものであり、真新しいものや他とは違うものに惹かれやすい傾向があります。楽曲の成功の裏にはそのような珍しさが存在するのでしょうか?

 

 

本研究の筆者達はそれを確かめようとしました。そのために彼らは「関連」分析を行いました。つまり、その曲が同じジャンル内の平均的な曲の歌詞とどのくらい違うかということを評価したのです。

 

 

 

研究

 

研究者達はビルボードのデジタルダウンロードランキングを使い、抽出された2014年から2016年のランキングデータを7つのジャンルに分類しました。ポップ、ロック、カントリー、ラップ、ダンス、R&B、キリスト教音楽の7つです。その結果として得られたデータはランキング4,200回分となりました。(曲の実数は1,879曲)

 

 

その後バーガーとパッカードは歌詞の中の共起表現を調べました。この情報に基づき、彼らはそれぞれの曲のテーマを特定しました。特定されたテーマは、「怒りと暴力」、「体の動き」、「踊り」、「家族」、「女の子と車」、「不確かな愛」、「燃えるような愛」、「前向きさ」、「スピリチュアル」、「若者人気」の10個になりました。

 

 

例えば、「車」「女の子」「ドライブ」「道」という言葉は「女の子と車」というテーマに関連する言葉である可能性が高い、ということになります。

 

 

また、研究者達は、それぞれのジャンル内の「歌詞のテーマ構成」についても調べました。

 

 

例えば、「カントリー」のジャンルの中では「女の子と車」をテーマにしている歌詞が多く見られます。次いで「不確かな愛」、「家族」に関するものが多くありました。

 

 

一方、ラップでは「若者人気」が最も多く、「怒りと暴力」がそれに続きます。それぞれの曲の歌詞のテーマを同じジャンル内の歌詞と比べることで、どの曲が例外的なものと認められるか、ということを特定していきました。

 

 

この研究結果は次のことを示しています。

 

 

一般的に、例外的な曲(そのジャンル内であまり取り上げられないテーマを扱ったもの)は他の曲よりも確実に上位に入っていました。さらに分析を進めると、ランキングの上位に入ることとラジオでの放送やアーティスト、言葉の複雑さ、言葉数、言語スタイルなどはあまり関連がないことがわかりました。また、他のジャンルの曲との類似も関係ありませんでした。つまり、成功した曲の人気というのは、幅広い層にアピールすることによって生まれるものではないのです。

 

 

バーガーとパッカードは、自分たちの得た結果をさらに確実なものにするために、2つ以上のジャンルで同時にランクインしている曲の動きを比較しました。予想通り、こういった曲は例外性が強い方のジャンルのチャートでより高い順位に入っていました。

 

 

歌詞の違いがその曲が成功するか否かの大きな要因になっているとすると、ダンスミュージックのように(ビートと比較して)歌詞が重要視されないようなジャンルでは、例外的な歌詞と楽曲の動きの関係は弱まるでしょう。

 

 

ポップミュージックのように、作者の言葉が「定義上は例外よりも主流」に近い傾向にあるものも同じです。これらの仮説はどちらもその後の分析により立証されています。

 

 

では、これらの発見から導かれる結論とはどんなものでしょうか。そのジャンルの中での例外性が強ければ強いほど成功しやすいということでしょうか。そういうわけではありません。

 

 

楽曲は「親近感というあたたかい光を思い起こさせる」程度には他の曲と似ていて、「新しくてわくわくする感じがする」程度には例外的である必要がある、とこの研究の著者達は言っています。

 

 

その良い例が既存曲のリミックス版です。リミックス版が人気になる理由の一つは、皆んなに愛されている曲に新しい解釈を加えることにあります。

 

 

ミュージシャンの方には、新曲つくりのヒントになりそうですね。