上司は部下よりも精神が不安定?

最新の研究は、少しの精神異常はリーダーにとって有益であることを示唆しています。
研究によると、リーダーは無情さや、大胆さ、そして支配する能力を備えることによってよりリーダーらしくなることが示唆されています。
精神が不安定で異常を来している人は、自分が力を得る為に他人を虐げてしまう傾向が強いことで知られていますね。この観点から言うと、CEOや政治家と犯罪者や暴力的な人との違いは、あからさまな反社会的行動を避ける能力の有無であると言えます。
だからこそ彼らは逮捕されることがないのですね。共感する能力のない人は、彼らの要求を通す為に乱暴に力を振るい、他人を傷付けるような自身の行動すら後悔することはありません。
もしかすると、あなたやあなたの知り合いの周りには特に意地悪な性分で、他人の弱く低く見せようとすることに良心の呵責のない上司がいるかもしれません。どうやら彼らは他人を退けることばかりに気を掛けて、他人を傷付けたことなど意にも介さずに、他人の言動に目を光らせているようです。
アラバマ大学のカレン・ランデイとその同僚による(2018)“悪の主君に使えるべきか?”という名の記事には、次の様に述べられています。精神異常者と同様に、モラルのコンパスを持ち合わせていない企業のリーダーは高く評価され過ぎている、と。そしてこの観念に基づいて発展した話は、“成功した精神異常者”に関した人気のある文献へと牽引するような興味を引くものでした。しかし、ランデイとその同僚達は、その話は重要な項目が抜けていると主張しています。
彼女たちが主張するその見落とされている点とは、リーダーシップの発生とその効力の間の違いにあります。
精神的に病んでいる人たちは、他人を支配したいという欲望から素晴らしいリーダーになりたいと望みますが、彼らが全員悪い人であれば、きっと彼らはトップに立てるのでしょう。嫌な上司を思い出してみて下さい。
本当にそんな意地悪な人のために働きたいですか?
全力で彼らの野望を阻止したいと思いませんか?
休憩のコーヒーやランチタイムを見つけては、毎回内部告発者のシナリオを夢見て、同僚と策略を練ったりすることはありませんか?
だとしたら、ではどうやって個人が有能なリーダーになれるのでしょうか?
個々が頂点に上り詰めることが出来る方法は、上司を騙して上手く利用し出世させてもらうか、その上司を追い出すように弁護士をちらつかせながら恐喝するという悪意ある行動のどちらかしかありません。
ランデイたちによると、以前の研究では十分に認知されていなかった重要な区別をきちんとする必要があると述べています。
まず始めに、精神が不安定な状態は簡単で単純なものではありません。精神異常を測るのにある一つの要素を用いることもありますが、研究者達は精神不安定者を多面的価値を持ったものであるという考え方をするように推奨しています。
その多面的な価値とは、内的支配(大胆さ)、衝動性(非抑制)、卑劣さや意地悪さ(共感能力の欠如)を指しています。
その他の精神病に関連した方式は複数の想定性です。これは個人が他人好意を持ってもらえるよう振る舞うことで、他人に自ら道を明け渡させ、退けることに値します。
加えて、リーダーシップの発生を定義するのはとても困難です。ある人が重要な地位へと出世するかもしれませんが、それは2、3年しか持たないものかもしれません。もしかすると雇用主が彼にうんざりしてしまい、その出世した人は解雇になる前に辞職するかもしれませんよね。人々があなたに好感を持って、喜んであなたの為に働きたいと願うから、あなたは良いリーダーと呼べるのでしょうか?
それとも、あなたがしっかりとした企業理念や事業に関する考えがあるから、良いリーダーとなるのでしょうか?
例えば、あなたはあなたのボランティアグループに酷い扱いをしたとします。でもそのグループはきちんと募金を募ることが可能なのです。
方法論や定義的問題とはまた別に、精神不安定者とそのリーダーシップとの関係には性別が何かしら作用しているのではないかとランデイたちは示唆しています。結局のところ、女性は重役に就くことが少ないという事実だけではなく、女性達はそのような重要な役職において必要な支配能力に優れていないということはよく知られています。女性は男性と同じ様に“邪悪な”振る舞いをすることは難しく、他人からそう受け取られることは難しいのです。
出版の是非に関わらず、ランデイたちの研究基準に合った文献を参照した後、彼女達は92名の被験者を得ることに成功し、リーダーシップの発生、効果、“変化的”リーダーシップ、そして高い倫理基準に基づいて支持者を感化するタイプのリーダーシップに関連したデータを得ることが出来ました。研究グループは、精神異常とリーダーシップの関係を男女それぞれ調査するだけではなく、リーダーシップの質を予測するのに適切な精神の不安程度を計測するための可能性を調査にも熱心でした。
この膨大な量の研究データによると、研究チームはほんの少しの関連性を精神異常とリーダーシップの発生の関係に見つけることに成功し、同時に精神異常と効率性との関係を否定する要因を僅かに見つけました。予測がつくかもしれませんが、精神が安定していな人は変化的リーダーシップを測る値が低いことが分かりました。
面白いことに、地位が低い者が上司を評価する際、精神の不安定性と変化的リーダーシップの関係は、自分自身を評価するときよりも弱いことが分かりました。
しかし、性別という要素がこの調査に入り込むと、状況は大きく変わります。精神が不安定の男性はリーダーになれる一方で、女性はリーダーとして台頭することはありませんでした。同様に、有能性において精神不安定の男性は高く評価されたのに対し、女性は低く評価されました。
つまり、全体的に精神性とリーダーシップの関係はどうやらそのリーダーとなる人の性別に大いに関係している様です。最後に、ある程度の精神異常はリーダーにとって変化性を含むリーダーシップにおける全ての局面においてなにかしらの効果があることが分かりました。
筆者は次のように結論付けています。多様な研究にわたる実験的精密な調査の元では、リーダー素質のある精神不安定者にはある種の恐怖が備わっていることが分かった、と。その効果は小さいながらも、“実験において潜在的に大事なもの(p.8)”であるとしています。しかし、多ければ多い程良いというものではなく、適度な精神の不安定性が、個々をリーダーにし、より効果的で変化的なものへと変えることができる様でした。一方で女性の場合は話が異なり、精神病的女性は性格の特色が職場に裏目に出てしまうようです。家庭において女性は精神の不安定性を反社会的と捉えずに態度に表すことがありますが、感情は邪魔なものと捉える職場においては感情の爆発として良く見られないようですね。
まとめ
精神の不安定性とリーダーシップの獲得との間には、単純単一な関係性や繋がりは見られないようでした。分かったのは、女性は男性と比べ、その精神不安定性を表わすと困難に直面することが多いことと、一方精神に異常を来している男性は、その精神不安定な状態は彼らを頂点に上り詰める後押しをしてくれているということでした。少し相手に良く接することは、自分が夢見るキャリアへと続くより長い道を選ぶということに等しいのかもしれませんね。