フィクションを読むことは本当に社会的能力を向上させるのでしょうか?

分析で読書と社会的能力の関係を考察してみましょう。

 

 

 テキサス大学にて、組織における人間事象に関わるプログラムの設立監督者として、私と私の同僚達は人文科学と社会行動科学を用いて職場で働く人々を教育しています。

 

 

 人文科学において、文学は私達が教授する内容の中で重要な役割を果たしています。文学作品を読むことには様々な潜在的な利点があります。例えば、実際には経験し得ないような体験を、フィクションの中で疑似体験出来たりします。加えて、文学は他人の視点で世界を見ることであるため、他人の考えや感情を覗く窓の様なものを私達に与えてくれます。ではこれらの経験は、他人との共感性を強めたり、相手を理解する能力を向上させることができるのでしょうか?

 

 

 この質問に答えを導き出す為に、心理学者たちはフィクションを読む人はフィクションを読まない人又は読書をしない人とを比べて、他人の考えや感情により敏感に感じる感受性が強くなるのかどうかを調べ始めました。2018年11月発行された実験心理学雑誌:一般に掲載されたデイヴィット・ドデルフェダーとダイアナ・タミアによる論文によれば、メタアナリシスと呼ばれる異分析を用いて14件の研究を観察することで、フィクションを読むことは社会能力の向上につながるかどうかを決定付けました。

 

 

 これらの研究では、一般的にいくつかのグループがフィクションの文章を読んでいて、大半の研究に比較対象としてノンフィクションを読んだグループが含まれていました。別の比較対象として全く読書をしないグループを含んでいた研究は数件で、ノンフィクションと読書をしない両方のグループを比較対象とした研究もごく僅かでした。

 

 

 社会能力性を測る方法はいくつかありました。研究は人々が他人の感情を読み、彼らの考えとそうではないものを識別し、異なる状況にいる相手の気持ちを想像する能力を観察しました。測定方法として実験作業内におけるパフォーマンスによって測られるものの他には、個々人が自分で調査する方式のものもありました(例えば、“どれほどあなたは頻繁に…”といった質問文)。

 

 

 筆者はこれらの研究を観察するだけではなく、これに関連した調査をしたものの証拠付けに成功せず未発行となってしまった論文がどれ程あるのかを把握しようとしていました。研究者が効果のない論文を出版しないと決めた場合、これは“出版バイアス”と呼ばれます。

 

 

 全体的に見ると、著者達はフィクションを読むことが社会的能力に影響を及ぼすと結論付けていて、その効果は小さいものの確かなものであるとしています。加えて、実際のパフォーマンスの測定は個人で行う測定方法よりも大きな結果に繋がることが分かりました。

 

 

 しかし、その効果があまりにも小さいのなら、果たして私達はそこに着目する必要はあるのでしょうか?筆者達は次のような理由から着目の価値があるとしていて、私も賛同しています。

 

  • 始めに、フィクションを読むことが少なからずとも確かに社会的能力に影響を与えるのであれば、それは今後の研究において生産的な分野を開拓していくことを示唆しています。もし研究が不確かであれば、研究者たちがその現象を研究し続けるのは困難になってしまいます。

 

  • 次に、これらの研究では被験者達にほんの短い間読書させ、それがすぐに結果として表れました。しかし、長年多くのフィクションを読んできた一体はフィクションが読者に何を喚起付けようとさせているのかという情報により注意を払う傾向があるようでした。つまり、長年にわたっての読書はこれらの研究よりもさらに大きな効果があることを意味しています。(そして将来的に取り組むべき研究対象です。)

 

 

今の所は良いフィクションの本を手元に置いて、いつもの読書習慣を続けていきましょう。