サイコパシーと性的欲求に共通する特性とは?

ー「ダーク・テトラッド」とその他の特性の関連性を調べる最新の研究ー
正気か狂気かは微妙な境界線だ、とよく言われます。
しかし人格に関してはどうでしょう?
サイコパシーと呼ばれる人格と、一般的に社会で認められているような人格にはどれほどの違いがあるのでしょうか?
その質問に答えるべく、「ヨーロピアンジャーナル・オブ・サイコロジカル・アセスメント」誌が最新の研究結果を発表しました。
ブリティッシュ・コロンビア大学のデルロイ・ポウルフス教授率いる心理学者らのチームは、「ダーク・テトラッド」と分類される4種類の特性を、最も有名で広く研究されている5つの人格に測定する研究をおこないました。
ー5つの分類は以下のとおり。(ビッグ・ファイブ)
・外向性
・経験への開放性
・感情の安定性
・誠実性
・協調性
”ダーク”な特性を持つ人格について、よく知らない読者のために、心理学者は「ナルシズム」「マキャヴェリアニズム」「サイコパシー」「サディズム」といった4つの特性を持つ”ダーク・テトラッド”について言及しています。
以下がそれぞれの簡単な定義です。
- 「ナルシズム」とは、自分の事ばかり考えていて、自分は特別で才能があり、優れていると信じている傾向にある。
- 「マキャヴェリアニズム」とは、人を操るのが上手く、卑怯で、常に人の機嫌をとっているような傾向にある。
- 「サイコパシー」とは、危険性を求めたり、他者への共感が欠如している傾向にある。
- 「サディズム」とは、他人を傷つけたり、他人が傷つけられているのを観察する事で(自分の体験ととらえて)、喜びを得る傾向にある。
この研究で研究者たちは、これらの4つの特性(ダーク・テトラッド)がそれぞれ示す度合いを測定しました。
彼らはまた、「ビッグファイブ」(と呼ばれる心理学上の分類法)の特性を示す度合いも、同じ人で測定しました。
そして、これらの2分類の特性(ダーク・テトラッドとビッグ・ファイブ)の度合いが重複する部分を探しました。
まず、「ナルシズム」は”ビッグ・ファイブ”の中の「外向性」と「経験への開放性」の部分と、最も密接なつながりがある事を発見しました。
次に、「マキャヴェリアニズム」の傾向が高い人たちは、「協調性」と「誠実性」が極めて低いという事がわかりました。
3番目に、「サイコパシー」と「サディズム」の傾向にある人は「協調性」の値が低いという結果も出ました。
つまり、「マキャヴェリアニズム」「サイコパシー」「サディズム」の3つの人格は、全て「協調性」が低く、「ナルシズム」は「外向性」と「開放性」が高いということが言えます。
これにより、「ナルシズム」の”ダーク”な特性は、他の”ダーク”な特性の側面とは対照的なものであるようだ、ということがわかります。
それはまた、”悪い”人格の中にもほんの少しは良い色合いがある、という考え方にもつながっていきます。
その研究はまた、個々の性的欲求と、人格の中の”ダーク”な一面の割合との関連性についても調べました。
研究者たちの予想に反して、「サディズム」の傾向が強い人は性的欲求が強いようだということがわかりました。
「おそらく、間接的でもなんでも、残酷なことを好む人間は性的欲求が高いということが言えるだろう」と研究者らは発表しています。
「性的なサディズムは、フロイト1とマルキ・ド・サド2の、物議を醸した主張と確実に関連していると思われる。
おそらくサディズムには、いくらかの性的な色合いがあるのだろう。もしくは日常のサンプルでさえ、セックスへのサディスティックなニュアンスを含んでいるだろう。」
最後に、研究者らは、このような”ダーク”な性質は、一般的には年齢とともに減少してくだろうという事も発見しました。
心理学者によると、「これについて考えられる理由は、対人関係への悪意は年齢とともに減っていくからです。」
1ジークムント・フロイト
オーストラリアの精神科医。神経病理学者を経て精神科医となり、精神分析学の創始者として知られる。
2マルキ・ド・サド
フランス革命期の貴族、小説家。
サドの作品は暴力的なポルノグラフィーを含み、道徳的に、宗教的に、そして法律的に制約を受けず、哲学者の究極の自由(あるいは放逸)と、個人の肉体的快楽を最も高く追求することを原則としている。サドは虐待と放蕩の廉で、パリの刑務所と精神病院に入れられた。サドの作品のほとんどは獄中で書かれたものであり、しばらくは正当に評価されることがなかったが、現在その書籍は高い評価を受けている。サディズムという言葉は、彼の名に由来する。
※Wikipediaより抜粋